『木曽の流れに古城が映え、ふれあい豊かなもりのまち』。
 犬山市は、名古屋という日本を代表する大都市の近郊にありながら、歴史と自然の豊かなもりのまちです。そして、近隣の街ではもう見ることの出来なくなってしまった、希少でユニークな動植物が、まだまだかなりの種類、生息しています。
 ところが、最近、この豊かだった自然がどんどん壊されて、豊かだった森はどんどん荒れ始め、動植物も年を追うごとに、一種、また一種といなくなりつつあります。犬山の貴重な自然資産が大きくそこなわれつつあるのです。このような状況を改善し、先祖や先輩たちから受け継いだ、豊かな自然を守り育てていくため、来年度『犬山里山学センター』がオープンすることになりました。
 犬山の森は昔からそこにあったのではありません。それどころか、ほんの数十年前までは、犬山の山々はほとんどが禿げ山だったことが知られています。それを大きく変えたのは、誰でもありません。当時、犬山に住んでいた人たちです。高齢者の方の中には、実際に禿げ山に一本一本、木を植えた方がまだ元気にしておられます。
 では、山々が緑に覆われたことで犬山の自然はどう変わったのでしょうか。実は、森林は水をたくわえるための大きな役割があります。つまり、犬山が緑豊かな場所になったことで、田んぼにきれいな水が安定して供給されるようになり、より良い米作りが可能になりました。
 しかし、影響はそれだけではありませんでした。森を作ったことで、多くの生き物たちの住み場所が確保され、いろいろな虫たちが増え、それを食べる鳥や魚も増えていったのです。
 犬山里山学センターには、この豊かな自然の資産を守り育てていくための、これまでにない特徴が二つあります。 
 もっとも大きな特徴は、市民自らが、自分たちの手で豊かな自然の資産を守り育てていくために、犬山の自然の特徴を十分に理解し、長期に渡って、継続的活動が出来るように考えられていることです。 
 このセンターに類似した施設は、日本全国いろいろな場所にあります。しかし、その性格は、市民に対する啓蒙普及活動中心の施設か、市民による環境活動を支援するためのボランティアセンター的な施設かどちらかです。
 このセンターが新しいのは、両者の融合を目指していることす。つまり、犬山の自然の特徴を、きちんと調べて理解した市民が、その知識をもとに、自然資産の保全と継承の実践的活動を行うための施設ということです。
 ちなみに、このセンターにはきちんとした資料の収蔵庫がありますが、これは、自然の資産に関する資料・標本をきちんと半永久的に保存管理して、長期的にわたって啓蒙普及活動に役立て行くために作られたものです。類似の施設でこのような収蔵庫はありません。
 つぎに、新しい点は、運営方法です。このセンターの運営は、近く指定管理者制度により、NPO法人が行えるよう準備が進められています。これは、環境省特定外来種プロジェクトのような外部資金を活用するなど、財政的な負担をなるべく市にかけない運営を行って半自立的な財政基盤を確保できるように考えられた結果です。
 このように、犬山里山学センターは、活動の内容も組織の運営も、新しい方式を採用することで、これまでにない『新世代地域博物館』を目指しています。近い将来、犬山里山学センターが、もりのまち、オンリーワン犬山の自然を守るシンボルになったらすてきですね。